【後編】NFT・ブロックチェーンをビジネスに/ビジョンと会社が求める人物像
前編では、NFT・ブロックチェーンの世界観についてお話しいただきました。
「NFTやブロックチェーンが日常になるには、体験が必要」という考えのもと、Kyuzanは、エンタメの世界にたどり着いたといいます。
しかし「おもしろい」だけではうまくいかないことも多いものです。後編では、KyuzanがNFT・ブロックチェーンをどのようにして世の中に広めていこうとしているのか、ビジョンについて迫ります。
髙橋 卓巳(たかはし・たくみ)
ブロックチェーンスタートアップKyuzanを2018年に創業。創業前から個人でブロックチェーン開発にフリーランスで携わる。大学ではプライバシー保護データマイニングと完全準同型暗号を用いた秘匿計算のビッグデータ分析への応用に関する研究に従事。東京大学大学院修士卒。
湯田 将紀(ゆだ・まさき)
早稲田大学社会科学部卒業後、ヤフー株式会社に入社。検索連動型広告やディスプレイ広告の企画開発を経験後、全社のマーケティングを推進するラボ的組織にてマーケティングの最適化支援やアドテクを活用した先進事例の創出を行う。その後、メディアカンパニーの財務企画として財務分析や事業計画策定、財務オペレーションの構築などに従事し、 2018年10月よりZ Venture Capitalに参画。
体験で「とっつきにくさ」をなくす
湯田
後編では、まずKyuzanの戦略について教えてください。
髙橋
前編でも少し触れましたが、NFTやブロックチェーンはまだ確立されていない市場です。何ができるのか、どうなっていくのか、わからないからこそ新しい体験を追求できればと考えています。Kyuzanはそうした体験を求めている人の選択肢になりうるサービスの提供を目指しています。コンテンツに集中できるように、まずはブロックチェーン・NFTへのとっつきにくさをなくすことが必要だと思っています。事業者向けにNFT・ブロックチェーンの活用を支援するサービスを提供しているのはその一環です。
この事業者向けのサービスと、一般ユーザー向けのゲームやプラットフォーム開発は私たちの戦略の両輪です。まず一般ユーザー向けのEGGRYPTOでは、トークンを使ったゲーム経済を作っていきます。そこにあるのは持続可能な、サステナブルな経済圏です。そのために、ユーザーがとっつきにくいと感じる決済やウォレットの課題を解決することが大切です。インフラを整えることでさまざまな事業者が参入できるようになると考えています。
最終的には、みんなが使っている状態(マスアダプション)を目指しています。NFTを日常的なサービスやコンテンツのメインストリームに持っていき、使いやすくておもしろいものにしていければ、音楽、映像、映画、それに出版などの分野でもNFT・ブロックチェーンを伸ばしていくことができると思います。
インパクトを与えたいならルールを作れ
ブロックチェーンで管理されたゲーム「EGGRYPTO」。世界に一体しかいないモンスターをタマゴからふ化させ、強化して、バトルする。国内最大のユーザー数を誇るNFTゲームに成長。
湯田
近日中に予定していることはありますか?
髙橋
はい。EGGRYPTOを大幅アップデートして、獲得したモンスターをNFTでさらに育成、成長できるゲーム体験を実現する「EGGRYPTO X」を公開予定です。EGGRYPTOは現在、グローバルでそれなりのユーザー数を持つ、類を見ないNFTゲームとなっています。今後はトークンを用いて、決してポンジ・スキームにならないゲーム経済圏をつくることに挑戦していきます。トークンを用いた経済圏をサステナブルに実現しているコンテンツは、世界でもまだ例がないため、非常に価値のある挑戦だと考えています。
湯田
なるほど。事業者向けのサービス「Mint」はいかがでしょうか。
髙橋
事業者やクリエイターが簡単に販売管理できる機能からはじまったMintにとって、今後、幅広い決済手段の提供はとても重要です。まずはウォレットの選択肢を増やしたいですね。日本国内だけでなくグローバル展開も視野に入れたとき、決済時のデリバリーが課題になります。原因は日本の商習慣です。日本では、取引のなかで「これが当たり前」となる習慣が数多くあり、その個々に対応しようとすると開発スピードが落ちてしまいます。なので、NFT・ブロックチェーンについては、こちらから「Mintを使ってこういうオペレーションにしましょう」とリードするのもありではないかと考えています。一番効率がいい習慣を、業界の標準にしてしまうということですね。
すでに企業からの問い合わせは100社以上にのぼります。しかし、すべてを支援できていない現状は非常にもったいないと感じています。今後、支援先が増えていけばマーケットへのインパクトもより大きくなると思います。
共同創業者探しと資金調達はセットだった
湯田
ここからは前編で入りきらなかったことに触れたいと思います。髙橋さん、起業は何からはじめましたか?
髙橋
僕は一人で起業するのは難しいと思っていたので、共同創業者を探すことからはじめました。その後、NFTやブロックチェーンの課題を調べるなど、何をしていくかを考えていきました。僕はマーケットが立ち上がるまでの時期に、世の中にサービスを浸透させるには「体験」が必要だと思っています。そのための手段がゲームだったわけですが、IPが入るほどの市場には育っていないので、起業は資金調達がなければ難しいとも考えていました。僕にとって共同創業者探しと資金調達はセットでした。縁あって出資のお話をいただき、共同創業者も見つかって、起業にこぎつけることができました。
湯田
共同創業者の小宮山さんは先ほどの「EGGRYPTO」を開発された方ですね。どうやって口説いたのですか?
髙橋
資金調達用に作った簡単な資料があったので、それを使って恵比寿のビールバーで話をしました。当時、仮想通貨のマーケットは投機商品として売買で成立していましたが、そこにトークンを使ったゲーム経済を作れたらおもしろいよね、と。
湯田
そうなんですね。小宮山さんにとって何が決め手となったんですかね?
髙橋
僕と話をしたあと、自分で調べてみて「これはおもしろい」と思ったんじゃないでしょうか。小宮山とはこれまでもさまざまなプロジェクトを一緒にやってきました。一番話をしたのは、シンガポール国立大学のリサーチインターンをしていた時です。その後、同じ東京大学大学院の研究室でAR系のプロジェクトなどに取り組んでいました。そのときにお互い起業したいという気持ちを持っていることを知りました。誰も開発したことがないもの、社会にインパクトがあることをやりたいよね、と。小宮山は「それを誰よりも調べたか?」「関連研究をすべて調べたか?」を重視する人です。僕はそれまでのやりとりで、何を聞かれるのかわかっていたので、しっかり調べて話をしました。
採用で「人柄」と「興味」を見る理由
湯田
Kyuzanに関心を持った人のために。ぜひ採用するときに見ているポイントを教えてください。
髙橋
優秀であるか以上に人柄を見ています。要は一緒に仕事したいかということですね。
どんなに優秀でもチームワークができず、信頼できない人には任せられません。コミュニケーションに影響が出ると、その人が結果を出しても周りのパフォーマンスを下げてしまうことがあります。中長期にわたって会社にコミットしてくれる人にとって「いいやつ」という条件は必須ですね。そこが一番の条件で最終的に行き着くところもそこだと思います。あとはブロックチェーンへの興味ですね。まだ確立されていない市場だからこそ、好きじゃないとオーナーシップを持ちにくい領域だと思います。
湯田
最後にKyuzanに興味を持っている人へのメッセージをお願いします。
髙橋
NFT・ブロックチェーンに興味を持っている人に、Kyuzanは多くのチャンスを提供できます。toBもtoCのどちらのサービスを持っていて自社で開発もしていますし、世界中にユーザーがいます。ユーザーが多いということは、それだけユーザーの抱える課題が集まりやすく、課題を解決しやすい環境にある、ということでもあります。ですから、それを解いたときの社会に対するインパクトも大きなものになります。また、ここもぜひ知ってほしいことで、Kyuzanは人数が少なく一人ひとりの裁量が大きいことも特徴です。責任を持って仕事をしたい人には成長できる環境ではないでしょうか。NFT・ブロックチェーンの知見を得たい人も、ネットで検索するよりうちに入った方が早いと思いますね。
確立していないマーケットだからこそ、将来のビジョンを自分で言語化していく姿勢も必要です。全体のめぐりを良くして最大化するポジションにあるので、飽き性な僕も続けてこられたのだと思います。最近は紹介で入社するエンジニアも増えて来ました。海外のエンジニアにとって、英語で働けて時差に関係なく働ける環境は好評です。やるべきことはたくさんあるので好きじゃないと大変かもしれませんが(笑)、最先端のNFT・ブロックチェーンを知りたい人はぜひご一緒しましょう!
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