【前編】なぜこの会社には「いい人」が多いのか?ユアマイスターCEOに聞く社員が仕事に夢中になる会社の作り方

【前編】なぜこの会社には「いい人」が多いのか?ユアマイスターCEOに聞く社員が仕事に夢中になる会社の作り方

「モノを大切にする価値観」を取り戻すことが日本の社会を幸せにする、と考える会社があります。ユアマイスター株式会社(以下、ユアマイスター)です。

ハウスクリーニングやリペアなどのプロサービスのプラットフォーム「ユアマイスター」を運営するユアマイスター。同社が大切にするのは、ユーザー、サービス提供者、そしてプラットフォーマーの三者が幸せを分かち合える関係性の構築です。

Z Venture Capitalは2020年に同社に出資し、同社の成長をサポートしてまいりました。今回、ユアマイスターCEOにうかがったのは、仕事に熱狂できる組織の作り方です。同社には現在100人のメンバーがいますが、そのうちの3割はリファラル採用だといいます。

「組織は人」。よく聞く言葉ですが、その言葉が指す意味は何なのか。経営学の定石を実践する星野さんにうかがいました。

【星野貴之】

楽天株式会社にて営業を担当、全国1位の収益を創出。全社MVP年間MVPを受賞。25歳で九州全域の副責任者となり、幹部育成プログラム1期生に選抜。IRへ異動、決算・増資・投資家対応を担当。2016年3月MBAを取得後、2016年8月にユアマイスター株式会社を設立。

お互いがお互いを尊重できる組織づくりを目指して

インタビュアー

年始に23億円という大型の調達を発表されて半年が過ぎました。改めて、ユアマイスターの現況について伺ってもよろしいですか?

星野

お陰様で23億円を既存・新規投資家のみなさまにコミットしていただけました。2016年設立から5年が経過し、組織は90人まで拡大しました。現在の主力事業は、いろいろな業界のプロフェッショナルたちと、ものを大切にしたいユーザーさんをつなぐ、サービス産業のIT化プラットフォーム『ユアマイスター』を展開し、エアコンクリーニングの掃除から始まり、85カテゴリーのサービスを提供しています。今回の資金調達をバネにして、今まさしく成長を加速させているところです。

インタビュアー

現在、積極的に採用を強化されているところでしょうか。以前うかがったお話ですと、御社はリファラル採用が多いということですが、採用候補者の方は何に惹かれてやって来るのだと思いますか?

星野

まだ売上も実績もない創業時といまとでは違うと思います。入るリスクもまったく違うのではないでしょうか。創業して2〜3年目は、裁量を持って事業に参加できることを重視する人が多かったと思います。

当時はこちらが「助けてください」と言ったときに、それに応じてくれる親心、あるいは兄心のある人が来てくれていました。僕は不完全な人間なので、僕ができないことを代わりにやってくれる人がすごく大事だと思っています。自分ができないことでも、他の人が喜んでやってくれることもあります。

最近はグロースの段階に入っているので、上場を経験したい人とか、ユアマイスターのこういう面で、こんな貢献ができるという具体的なイメージを持ってやって来る人も増えている印象です。

人でできている組織はパズルです。お互いがお互いを尊重できる状態じゃないとうまくいきません。組織が大きくなれば、パズルも大きくなります。いま100人ほどのメンバーがいて、3割がリファラル採用による社員です。リファラル採用は組織との相性を見た上で行っていきます。パズルが大きくなるとすきまも出てきます。そこに合う人を入れていく、ということを徹底してやってきました。

創業時もいまも「ユアマイスターに入れば、活躍できそう」と思ってくれた人が来てくれています。僕はそれを組織の中で、あなたにはこの役目があり、こういう風に活躍してほしいと伝え示し、信頼して任せるということに注力しています。

いい人が多い組織にいるといい人になる

インタビュアー

御社の人事データを見ていて思ったのですが、平均年齢が31歳と若い人が多くて、会社としても、とても活気がありますよね。

星野

そうですね。働くことを楽しいと感じている人が多いのだと思います。実際、以前ユアマイスターの社員に匿名アンケートを実施したら、92%の社員が「仕事が好き」と回答しました。

これは嬉しかったですね。メンバーには会社に希望を持ってもらいたいので。会社は成長と希望の場所でありたいと考えています。やめることが悪いとはまったく思いませんが、会社が成長と希望の場であるために、それにのってくれる人が多い状態であることは重要です。そして、僕はそれを会社としてどうやって作っていくかを考えてきました。

インタビュアー

具体的にどのような取り組みをなさってきたのですか?

星野

コロナ禍での組織運営は難しいですが、社員がお互いのことを知り応援できるように、会社としていろんな機会を提供しています。

毎朝9時にオンラインで開催される全社朝会はそうした取組みのひとつです。ラジオ形式で日替わりでパーソナリティーが登場し、パーソナリティーにいまいる場所や今後何をどうしていきたいかを語ってもらうという企画です。終わりは必ず「今日も1日頑張るぞ」の掛け声で締めます。そうやって、少し気分を上げて、1日を楽しい気持ちではじめられるようにしています。

会社からは離れたところでイベントを企画してやっている人もいますね。僕の知らないところで、会社の仲間が社外のメンバーとフットサルで交流をしている話も聞いたことがあります。僕はそういった取り組みはすごくいいことだと思っています。

インタビュアー

社交性が高くて、社員同士がメチャクチャ仲が良い感じが伝わってくるエピソードですね。

人を育てる・人を残す会社でありたい

インタビュアー

星野さんが社員同士が仲良く、楽しく仕事に取り組む社風を作ろうと思ったのは、何がきっかけだったのでしょうか?

星野

僕はもともと楽天市場にいました。4年ほど現場を見て、その後eコマースの経営を考える立場も経験させてもらいました。

楽天では年功序列を採用していなかったので、若い人にもチャンスがあり成長させてもらったという実感があります。仕事も成長も決して一人ではできないものです。周囲の人がいて、応援してくれる環境にあったから、社会に出てすぐのときにそうした経験ができたのだと思います。

若いときの4、5年はとても大切です。なぜなら、その時期にその人の社会に対する見方とか働き方の基礎はできてしまうから。それをきちんと作れる会社がたくさんあれば、世の中はもっとよくなっていくし、成長できると思います。

一方、会社を育てていくには経験者である大人の即戦力も必要です。ですから、ユアマイスターでは社会人経験のある大人がサポート役も担います。例えば、インターンから新卒で入社してくださっている約10人はそれぞれのチームの主軸ですし、社会人5年目で入社した若手はチームのリーダーとしてマネジメントを行なったりしています。

若い社員一人ひとりが、「仕事が楽しい」と没頭できる、夢中になれる会社になれたら、どんな分野で何をやっても勝てると思います。

人を育てる、人を残す会社でありたいですね。人を残すのは経営者としての使命です。社員には、応援される人になってもらいたいと思います。応援されたら、サービスも成長できるし、投資家からも選んでもらえますから。

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