【後編】「特別なスキル」より「おもしろがる」仲間が欲しい

【後編】「特別なスキル」より「おもしろがる」仲間が欲しい

前編では中古車の流通を変えるとどんな変化が訪れるのかを株式会社アラカン代表取締役の田中一榮氏にお話いただきました。
長い間、ユーザーとサービス提供者の利益は相反すると考えられていただけに両者のwin-winを実現できるビジネスモデルは興味深いでしょう。【前編はこちら】

後編では、中古車マーケットの世界に秘められた可能性。そして、会社の展望。そこに必要となる「仲間」についても深掘りしていきます。


田中一榮
元株式会社ネクステージCOO。入社3年で取締役事業本部長に抜擢される。
就任後、営業部長、人事部長、店舗開発部長を兼任しネクステージ成長の陣頭指揮を執り、同社を東証一部(現プライム)へ上場させる。2019年3月に株式会社アラカンの代表取締役に就任。リアル店舗で出来る事を全てオンラインで実現した自動車流通サービス「カババ」を開発


内丸拓
京都大学工学部、同大学院情報学研究科修了後、General Electric(GE)を経て、経営共創基盤(IGPI)に参画。GEではヘルスケア/ エネルギー/ オイル&ガスの事業部門において経営企画・管理業務に携わり、IGPIではスタートアップから大企業までの幅広いフェーズの企業に対して事業成長/ 新規事業創出/ 事業再生の支援に従事。2022年5月よりZ Venture Capitalに参画

大手が手を出しにくい構造的な課題

内丸
田中さんは前職、大手中古車販売店でCOO(最高執行責任者)をされていました。中古車専門フリマの「カババ」は社内で立ち上げることもできたのではないでしょうか?

田中
もちろん、考えなかったわけではありません。しかし、大手になればなるほど、すでに投資しているものがありますよね。中古車の流通経路を変えるフリマは、販管費をカットするということでもあるわけです。

その結果、必要な人員は従来の10分の1になりますから、すでに採用した何千人もの社員をどうするのかという問題が起こります。新しいビジネスモデルを立ち上げるには、そうしたものをすべて精算しなくてはなりません。

そこまでする動機が会社にあるかというと……ないですよね。現時点で一定の成功を収めているのに、リスクを犯して新しいことをはじめる理由はないでしょう。会社もその段階になれば、誰か一人がいなくなって困る状況ではありません。会社としてできない上に、これまでお世話になった会社に迷惑がかからないなら、ということで創業しました。

4兆円の市場の20%を狙う

内丸
スタートアップのカババは中古車マーケットのどこに可能性を感じていますか?

田中
*リクルート調べによると、中古車のマーケットは4兆円と言われています。ユーザーをターゲットにしたカババなら、その中の20%を狙いたいですね。車の売買だけでなく、点検修理などの派生する仕事も考えると、1兆円が見えてきます。

従来の中古車販売では、中古になったとたんに値下がりすることはめずらしくありません。300万円で買った車を仮に翌日売りに出しても、250万円以上の値がつくことはほぼないといってよいでしょう。中古になった途端にこれだけ値が下がるわけですから、これまではできるだけ長く乗ろうというインセンティブが働いていました。

それがカババなら、290万円以上になります。それほど損せず売りに出せたらどうなりますか?6〜10年に一度しか乗り換えなかった人の買い替えサイクルを短くできますよね。すると市場は6倍になる可能性だってあるわけです。日本人のカーライフが変わるかもしれません。

車好きとサービス好きの社員は50:50

内丸
日本人のカーライフを変えるカババには、どんな人が必要ですか?

田中
カババには3つの職種が必要です。1つは車両の鑑定士。ユーザーの安全と取引の質を担保するには、有資格者が必要です。

2つ目はエンジニアです。車は思い立ってから実際に買うまでの時間が長い商品だと思います。ですから、カババのサイトの検索性や見やすさはとても大切です。まだまだやれることはたくさんあると感じています。

3つ目は取引をサポートする人材ですね。とりわけIPOを目指すいまのアラカンは、財務に詳しい人を求めています。

内丸
メンバーは車が好きな人が多いですか?会社のカルチャーについても教えてください。

田中
車が好きな人は半分、カババのサービスの将来性に可能性を感じてくれている人が半分でしょうか。

組織にはいろいろなタイプがあって、社長自身がリーダーシップを発揮して「俺について来い」という会社もあれば、メンバー各自に判断を委ねるところもあると思います。

アラカンは「誰が正しいか」ではなく「何が正しいか」で判断できる会社でありたいですね。実際、みんな私に文句を言っていますよ。マネジメントとしては、それをはねつけないことが大事だと思っています。

「なぜそれが必要ですか?」という素朴な疑問は必要です。感情論ではなく、何が正しいかを議論することによって、いいサービスや組織はできてくると思うからです。絶対的な指針があるとすれば「ユーザーにとって有益かどうか。」忖度するとしたら、上長や自分の損得ではなく、そこですよね。

スキルより一緒におもしろがれる人を

内丸
最後に、これから会社をどうしていきたいですか?

田中
将来的には車だけでなく高級時計やバイク、絵画にもカババのスキームを広げていけたらおもしろいですね。中古車販売と同じように、完全な取引までのチェックポイントが多いものに展開していけたら。

いまはフリマと表現しているだけに信頼が得づらい状況にありますが、このハードルを乗り越えたらその先に行くのはそれほど難しくないと考えています。難易度は高いけれど、乗り越えたら大きいと思うんですよね。

アラカンはリアルサービスを展開しており、車の流通を変える可能性のあるサービスを作っています。看板事業のカババはあと1〜2年でスケールするかどうかが決まると思っているので、そこを一緒に乗り越えられる仲間に来てもらいたいです。

Webでは、特別なスキルを持つ人を求めているわけではありません。スキルより「このサービスいいね」と、おもしろがってくれる人が必要です。アラカンにはまだCTO(最高技術責任者)がいませんので「自分がやるよ」という方を、お待ちしています。

私は成功したときの喜びも、みんなで分かち合いたいと思っています。ストックオプションは全員に配布することを決めていますので、ぜひ一緒にIPOを成功させて、経済的な喜びも分かち合いましょう。

アラカン採用ページはこちら

*リクルート「カーセンサー中古車購入実態調査2021」より
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2021/1125_9715.html